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2026.10.07 / BRAND / LUXURY / LVMH / CHANEL

ラグジュアリー市場で広がる「ブランド間格差」。問われるのは、指名で買われる理由

バッグを合わせた夜のファッションポートレート(イメージ写真)

市場全体の不振だけでは説明できない明暗。数字と「このブランドじゃなきゃ嫌だ」を生む顧客接点を分けて考える。

FACTS / 市場全体の一言では見えない差

10月6日のReuters BreakingviewsによるLVMHの分析を起点に、今日の編集会議ではラグジュアリーの「ブランド間格差」を議論した。同記事は論評であり、企業の決算発表そのものとは区別する。足元を確かめるため、各社の一次資料とシャネルについてのReuters報道を読み直した。

LVMHの2026年上期売上高は386億4400万ユーロ。公表額では前年同期比3%減だが、為替と連結範囲の影響を除くオーガニック成長率は2%増だった。ファッション&レザーグッズは同基準で上期1%減、4〜6月だけでは1%増。一方、時計・宝飾は上期9%増で、同じグループの中でも動きはそろっていない。

BACKGROUND / 好調な領域とブランドを確かめる

カルティエやヴァン クリーフ&アーペルを擁するリシュモンは、2026年4〜6月のグループ売上高が為替一定ベースで20%増、宝飾メゾンが24%増と発表した。LVMHの半年間とは対象期間も事業構成も異なるため、この数字だけで企業の優劣を順位づけすることはできない。それでも、ラグジュアリーのすべての領域が一様に落ち込んでいるとは言い切れない。

シャネルの2026年上期売上高は比較可能ベースで16%増だったと、Reutersが8月5日にBloombergの報道を伝えている。これは関係者を情報源とする報道値で、シャネルの公式中間決算ではない。同社はコメントを控えており、確定した会社開示の数字と同列には扱わない。

LVMH自身も、ディオールの新デザインやルイ・ヴィトンの北京・ソウルの新店舗、ロロ・ピアーナの好調に言及している。ただし、ここで挙げられた個別ブランドの増収率は公表されていない。顧客層、地域、商品分野、新作投入や店舗展開など、差を生む要因は複数ある。

READING THE SHIFT / 「値上げできる」の先にあるもの

今日の議論の中心は、値上げしても指名買いされるブランドと、そうではないブランドの差が広がっているのではないか、という問いだった。今回の売上資料だけで、値上げ後の購買行動やその原因を証明することはできない。価格に納得する理由を、商品から接客まで一貫して作れているかという視点は、以下の編集長による考察として位置づける。

SOURCES / 出典・元記事

LVMH/2026年上期業績・7月27日
https://www.lvmh.com/en/publications/accelerating-growth-in-the-second-quarter---solid-first-half-results

Richemont/2026年6月末までの第1四半期・7月15日
https://www.richemont.com/news-media/press-releases-news/richemont-posts-strong-start-to-the-year-with-sales-up-by-20-at-constant-rates-for-its-first-quarter-ended-30-june-2026/

Reuters/シャネルに関するBloomberg報道・8月5日
https://www.reuters.com/business/retail-consumer/chanels-first-half-sales-outperform-rivals-bloomberg-reports-2026-08-05/

Reuters Breakingviews/論評・10月6日
https://www.reuters.com/commentary/breakingviews/lvmhs-167-bln-unravelling-faces-tricky-restitch-2026-10-06/

EDITOR’S VIEW / 竹内 真

強いブランドは、価格だけではなく「このブランドじゃなきゃ嫌だ」という指名で買われる理由を作れているのではないでしょうか。

それはSNSやタレント起用といった単発の施策だけではなく、商品、デザイン、歴史、店舗、接客、広告、SNSなど、すべての顧客接点で一貫した世界観を積み上げてきた結果だと思います。

市場全体が悪いという大きな括りより、なぜ選ばれるブランドとそうでないブランドの差が出るのかを見たい。これからのブランド経営では「どう売るか」以上に、「なぜ自分たちでなければならないのか」を作れるかが重要だと考えます。

写真は記事テーマのイメージで、紹介企業・ブランドの店舗や商品の実物を示すものではありません。