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2026.10.08 / BRAND / LUXURY / CUSTOMER

米国ラグジュアリー消費が減速。次に見るべきは「誰が買っているのか」

ジュエリーと装いのディテール(イメージ写真)

カード取引の減速と、トップ顧客への依存は同じ数字ではない。市場平均の先にある顧客構成を読み解く。

FACTS / 米国のカード取引は、9月に減速

ロイターが10月6日付で伝えたシティのカード取引分析では、米国の9月のラグジュアリー支出は前年同月比6%減だった。7月、8月はいずれも4%減。対象となるカード取引から見た動向であり、米国の全消費や世界市場、個別ブランドの決算を表す数字ではない。

BACKGROUND / トップ顧客の重要性を示す別の調査

ベインが2025年12月に公表したラグジュアリー市場調査では、パーソナル・ラグジュアリーへの年間支出が2万ユーロを超えるトップ顧客の売上構成比は、2019年の30%から2025年には46%強に上昇したとされる。一方、この層の2025年の支出総額はおおむね安定していたという。

ここでいうトップ顧客は年間の購入額で定義されている。資産額で区分する「超富裕層」と同義ではない。また、2025年の世界市場についての分析であり、2026年9月の米国カード取引と期間、地域、対象が異なる。二つをつないで「今は超富裕層だけが買っている」と結論づけることはできない。

ANALYSIS / 同じ高所得層でも、価格の感じ方は一つではない

ラグジュアリーの主要顧客が高所得層だとしても、その中には購入頻度、支出余力、保有資産、ブランドとの関係の深さに違いがある。一般的な高所得層が購入を見送る局面でも、継続的に大きな金額を使う顧客の行動は違うかもしれない。これは検証すべき仮説であり、今回確認した情報から各層の現在の購入額を断定するものではない。

売上構成比が高まった理由も分解したい。トップ顧客の購入が増えたのか、それ以外の顧客が減ったのか。値上げによって購入単価だけが上がったのか。同じ構成比の変化でも、必要な商品政策と顧客への働きかけは変わる。

ブランドによって、長年の顧客、初めての購入者、旅行客、地元の顧客の割合も異なる可能性がある。ただし、それぞれの内訳を確認できなければ、特定ブランドの強さを「超富裕層が多いから」と説明することはできない。前日の記事で扱ったブランド間格差を、今日は顧客の側から掘り下げる。

MANAGEMENT / 平均の売上から、顧客別の変化へ

経営で見るべきなのは、顧客数、購入頻度、平均購入額、新規と継続の割合、価格帯別の売れ方だ。トップ顧客の売上が維持されても、次の世代の顧客が入らなくなれば将来の基盤は細る。反対に、平均が弱くても、新規顧客の定着や特定の商品領域に成長の芽があるかもしれない。

市場全体の減速は重要な入口だが、その数字だけでは、誰に何を提案し直すべきかまでは分からない。高所得層を一括りにせず、ブランドごとの顧客構成と購買行動を確かめることが、次の判断につながる。

SOURCES / 出典・元記事URL

Reuters/シティの米国カード取引分析・2026年10月6日
https://www.reuters.com/business/finance/us-luxury-spending-slows-ahead-midterms-credit-card-data-shows-2026-10-06/

Bain & Company/Finding a New Longevity for Luxury・2025年12月18日
https://www.bain.com/insights/finding-a-new-longevity-for-luxury/

編集長・竹内 真はこう見る

市場全体の前年比だけを見て「ラグジュアリーが不振」とまとめると、見落とすものがあると思います。高所得層の中でも、一般的な高所得層と超富裕層、トップ顧客では、買い方が違う可能性があります。ブランドごとに顧客の構成も違うでしょう。

現時点で、超富裕層だけが買っている、特定のブランドだけが強い、と決めつけたいわけではありません。市場全体の前年比だけを見るのではなく、次に見るべきは「誰が買っているのか」という内訳です。

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