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2026.10.08 / AI / TECH / AI / MERCHANDISING

AIは「何を作るか」だけでなく、量・時期・売場を変える。アパレル企画の無駄打ちを減らせるか

服とパソコンを使い商品企画に取り組む現場(イメージ写真)

経験と感性をデータで補強する商品企画へ。現在の活用と今後の計画を分け、AIが支える四つの判断を考える。

FACTS / ELMIRAの現在の活用と、これからの計画

アダストリアが9月30日に発表した「ELMIRA(エルミラ)」は、AIを活用する新ブランドだ。公式発表では、10月8日正午からand STで順次販売を開始するとされている。本稿は発表に基づく販売予定として記載している。

現時点の説明では、AIビジュアルなどを用いた表現とクリエイティブの効率化が紹介されている。一方、AIによるマーケットデータ分析や商品企画への活用は、今後本格的に着手する計画だ。既にAIが全商品の企画や数量を決定している、という発表ではない。

BACKGROUND / 需要と在庫をつなぐ実装は進んできた

Liaroは2023年7月、アダストリアのGLOBAL WORKで、需要予測に基づくAI配分の取り組みを公表している。試験導入で欠品や残在庫、店間移動の負担軽減につながったという提供企業側の説明であり、今回確認した情報から全社の利益改善率を示すことはできない。2023年の事例を、2026年に新しく導入されたものとしては扱わない。

海外では、Mangoとo9が2025年3月、商品・財務計画、品揃え、需要計画などをつなぐAIを用いた計画基盤への取り組みを発表した。計画領域を横断する方向性は確認できるが、発表だけで導入後の収益効果が実証されたとは言えない。

天候については、日本気象協会のアパレル向けサービスが、販売・出荷・価格・在庫などと気象データを組み合わせ、需要の時期や地域差を判断する使い方を示している。これは気象データ活用の具体例であり、すべての分析をAIが行うと確認したものではない。

ANALYSIS / 商品企画に必要なのは、四つの判断をつなぐこと

ここからは編集部の活用案だ。画像を作るAIと、需要や在庫を分析するAIは役割が異なる。企画を変える可能性があるのは、販売履歴だけでなく、顧客の反応、トレンド、気温、欠品や残在庫を、次の判断に使える形へつなぐことだ。

判断分析する情報の例改善を狙う仕事
何を作るか売れ筋の特徴、顧客の声、検索やトレンド求められる用途・素材・形の候補を作る
どれくらい作るか需要予測、在庫、欠品、追加生産の条件初回数量と追加量の無駄を減らす
いつ投入するか気温・天候、需要の立ち上がり、生産日程季節と実際の売れ始めのずれを抑える
どこへ投入するか店舗・EC別の売れ方、地域、在庫店舗とチャネルへの配分を見直す

この表は、一つの企業が既にすべて実現したという一覧ではない。予測が外れた時に少量で修正できる生産と配分の仕組みまで含めて、検証すべき使い方を整理している。データに欠品が含まれていれば、売れなかったのか、売るものがなかったのかも区別したい。

MANAGEMENT / AIが土台を作り、人がブランドらしさを加える

AIの候補が過去の売れ筋ばかりなら、どのブランドも似た商品へ寄る可能性がある。新しい表現や、まだ数字になっていない顧客の気持ちをどう扱うかは、人の判断が残る。ブランドが守る品質、形、世界観を明確にした上で、データを仮説の土台として使う必要がある。

効果を見るなら、企画案の数や処理時間だけでなく、定価での消化、粗利、欠品、残在庫、返品まで追いたい。AIの目的を「すべてを決めてもらう」に置くのではなく、担当者が理由を確かめ、より良い判断をするための無駄打ち削減に置くことが、商品企画への現実的な入口になる。

SOURCES / 出典・元記事URL

アンドエスティHD/アダストリアのELMIRA発表・2026年9月30日
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000003311.000001304.html

Liaro/GLOBAL WORKのAI配分・2023年7月27日
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000022723.html

o9/Mangoとの計画基盤への取り組み・2025年3月25日
https://o9solutions.com/news/o9-and-mango-partner-to-modernize-the-fashion-brands-end-to-end-planning-capabilities

日本気象協会/アパレル向け需要予測サービス
https://weather-jwa.jp/service/apparel

編集長・竹内 真はこう見る

これまで担当者の経験や感覚に依存していた商品企画を、AIで補強したいと思います。売れ筋、顧客、気温、在庫を一緒に見ることで、何を、どれくらい、いつ、どこへ投入するかという無駄打ちを減らせる可能性があります。

AIに全部を決めてもらうのではありません。AIがデータから土台を作り、最後に人間がブランドらしさや感性を加える。その役割分担ができれば、経験を捨てるのではなく、経験をもっと生かせる商品企画になるのではないでしょうか。

確認した参照情報は公開前に確認。写真は記事テーマのイメージで、紹介企業のイベント・商品の実物や実際のサービス画面を示すものではありません。