記事一覧へ戻る
2026.10.14 / BUSINESS / HiRAO INC / KRAM

HiRAO INC×クラム。ブランドを支援する力は、自ら事業をつくる力に変わるか

カフェを背景に素材とブランド企画資料を置いたAI生成イメージ(紹介企業の実物・実際の店舗ではありません)

ファッションブランドの魅力を伝える会社と、飲食店や施設を運営する会社が組む。その接点には、広告やイベントの受託にとどまらず、ブランドや体験を自ら事業として育てる可能性がある。HiRAO INCとクラムの資本業務提携は、その可能性と難しさを考えるニュースだ。

FACTS / 契約は7月28日、発表は10月3日

株式会社HiRAO INCとクラム株式会社(KRAM Inc.)は、2026年7月28日付で資本業務提携契約を締結し、両社が10月3日に発表した。FASHIONSNAPの紹介記事は10月5日付で、契約日とは異なる。HiRAO INCの代表取締役は平尾香世子、クラムの代表取締役は永砂智史。確認した公開発表では出資額と持ち分比率は示されておらず、資本関係の規模や経営支配については判断できない。

HiRAO INC側の発表は、ブランド・IPの共同開発や新規事業、俳優・アーティストを起点とする事業開発、東京とソウルを起点とする海外事業、既存カテゴリーを越えた事業共創を挙げる。単発の企画協力から、事業を継続して育てる関係へ進むことが狙いとなる。

FACTS / HiRAO INCの仕事は、具体的に何か

HiRAO INCは2006年設立のコミュニケーションエージェンシーだ。会社紹介の抽象的な言葉だけでは、今回の提携で何ができるのかは見えにくい。公式サイトの公開実績を見ると、ファッション、空間、海外ブランド、アーティストにまたがる仕事が分かる。

例えば、公式ポートフォリオにはプッチの「L’ALBA COLLECTION LAUNCH PARTY」が掲載されている。開催日は2026年4月24日、会場は東京エディション銀座の「THE ROOF」。これはブランドの発売パーティーに関する公開実績であり、出演者が同社の所属タレントだという意味ではない。

韓国ブランドを中心とする合同展示会「MECORE」も具体例だ。公式説明では、韓国のFUTURESOCIETYSHOWがブランドのキュレーション、4OPUSがセールス、HiRAO INCがPR・コミュニケーションとブランドディレクションを担う三社共催の取り組みとなっている。HiRAO INCが単独で展示会の販売機能をすべて担っているわけではなく、専門性を分担しながら日本市場でブランドを伝える仕組みだ。

エンターテインメントでは、韓国俳優チョン・イルの日本におけるエージェンシー業務を継続すると今回の発表に明記されている。公式サイトにもアーティストマネジメントの対象として掲載されている。ブランドの顧客、イベントの出演者、エージェンシー契約の対象者は、別の関係として読む必要がある。

FACTS / クラムには、店舗や施設を運営する事業基盤がある

クラムは2022年設立で、事業投資、不動産、ホスピタリティ、飲食などを展開する。公式発表では、日本橋兜町の「ease」「Neki」「teal」「BANK」など、レストラン、パティスリー、複合ショップの事業を紹介している。グループとして東京を中心に約40の店舗・施設を展開しているという。

この「約40」は発表時点のグループの店舗・施設数であり、提携で新たに開く店舗数ではない。具体的な飲食・空間事業を持つことは、ブランドの構想を生活者が訪れる場に落とし込み、日々運営するための基盤があるということでもある。

FACTS / 韓国法人は設立予定。事業化の成果はこれから

HiRAO INCは韓国法人「HiRAO INC KOREA(仮称)」の設立を予定すると発表した。東京とソウルを拠点に、日本と韓国のブランド、企業、クリエイター、アーティストとの事業基盤をつくり、将来は欧州、米国、中東との連携も視野に入れる。今回確認した発表からは、法人設立完了や開業時期までを確定できない。

BUSINESS VIEW / 案件の支援と、継続する事業の違い

FASHION SHIFTの経営分析として注目したいのは、ブランドの価値を編集して伝える能力と、店舗・サービスを継続して運営する能力の接続だ。受託案件では納品やイベント実施が一区切りになる。一方、自ら事業を持つ場合は、その後も顧客に選ばれ、売上と費用を管理し、サービスを改善する責任が続く。両社の専門性が互いを補える可能性はあるが、提携したことだけで収益化が約束されるわけではない。

今後は、どのブランドやサービスを実際に立ち上げるのか、誰が事業運営を担うのか、顧客が繰り返し利用する理由をどうつくるのかが焦点になる。華やかな企画発表と、継続する事業の成果を分けて見る必要がある。

編集長・竹内 真はこう見る

楽しみな取り組みです。ただ、クライアントワークと、自分たちのサービスをつくることでは、必要なスキルやノウハウが違います。うまく事業にできるのか、注目したいと思います。

SOURCES / 出典・元記事URL

クラム公式発表(2026年10月3日)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000177061.html

HiRAO INC公式発表(2026年10月3日)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000007464.html

HiRAO INC|プッチ発売パーティー公開実績
https://hirao-inc.com/works/lalba-collection-launch-party/

HiRAO INC|MECOREの役割分担
https://hirao-inc.com/showroom-project/

HiRAO INC|Artist Management
https://hirao-inc.com/artist-management/

FASHIONSNAP(2026年10月5日)
https://www.fashionsnap.com/article/2026-10-05/hirao-inc-kram-inc/

AI生成イメージ。紹介企業の実際の店舗・商品・社員、技術や過去の記録写真ではありません。