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2026.10.17 / BUSINESS / 4℃ HOLDINGS

4℃HD、売上770億円・営業利益43億円を予想。利益成長の中身を読む

リングとネックレスを配したジュエリー売場のAI生成イメージ。4℃や時計ブランドの実際の商品ではありません。

2027年2月期の連結売上予想は10.1%増、営業利益は53.4%増。売上の上方修正と利益据え置き、事業別の動きから、増益の質と今後の課題を考える。

770億円と43億円は、通期の連結予想

4℃ホールディングスが2026年10月9日に発表した決算短信によると、2027年2月期の通期連結予想は売上高770億円、営業利益43億円。前期比ではそれぞれ10.1%増、53.4%増となる。対象期間は2026年3月1日から2027年2月28日までで、ジュエリーブランド「4℃」単独の売上や、既に確定した通期実績ではない。

今回の修正では、売上高を従来の750億円から20億円引き上げた一方、営業利益43億円は維持した。会社は経営環境と今後の投資計画を勘案し、各段階利益は計画通りを見込むとしている。売上の上振れがそのまま利益予想の追加増額へ向かったわけではない。この点を押さえると、増収増益という見出しの先にある経営判断が見えてくる。

利益率の上昇を、何が支えているのか

公表値から計算すると、通期予想の営業利益率は約5.6%。前期実績の売上高699億62百万円、営業利益28億2百万円から求めた約4.0%を上回る。約1.6ポイントの改善を見込む計算だ。増収率を上回る増益率は、この利益率の変化と併せて読むと理解しやすい。

ただし、グループ全体の利益率が上がることから、個々の商品の採算や4℃ブランドの評価が同じだけ改善したとは言えない。事業構成、販売数量、費用、一時的な要因が重なって連結利益は決まる。利益の伸びを評価しながら、その再現性を別に検討する必要がある。

中間期はブランド事業が大きく伸長

2026年3〜8月の中間期実績は、連結売上高394億42百万円、営業利益27億9百万円。前年同期比は売上21.5%増、営業利益141.0%増だった。通期予想の53.4%増と、中間期実績の141.0%増は対象期間が違う。いずれも「利益成長率」とだけ書くと、読者が混同しやすい。

会社はブランド事業で、ジュエリーのエフ・ディ・シィ・プロダクツグループにおけるMD改革やチャネル戦略による既存店売上の伸長を説明した。加えて、高級ブランド時計のリユース販売を手掛ける羅針で、品ぞろえ拡充に伴い売上と営業利益が大きく伸びたとしている。ブランド事業の好調を、ジュエリーだけの成果として語らないことが重要だ。

費用を抑えた効果と、一時要因を見分ける

連結損益計算書では、中間期の売上総利益は前年の107億77百万円から123億87百万円へ増加。一方、販管費は96億52百万円から96億77百万円にとどまった。増えた売上総利益の多くが営業利益の増加に結び付く構図を読み取れる。ただし、これだけで全社的なコスト削減が唯一の要因と断定することはできない。

アパレル事業では、会社は退職給付制度の改定に伴う一時的な費用の減少にも言及した。こうした前年との費用差は、毎年繰り返す成長とは区別したい。翌期以降の評価では、一時要因がなくなっても利益を維持できるか、商品や販売チャネルの改善で粗利益を積み上げられるかを見る必要がある。

利益と現金の動きも、合わせて確認する

中間期の営業キャッシュ・フローは1億95百万円の支出だった。営業利益が大幅に増えていても、同じ期間の営業活動から得る現金が増えるとは限らない。税金の支払いや運転資金の動きが影響するためだ。商品及び製品の残高も前期末から増えており、販売の成長と在庫の回収を合わせて確認したい。

通期予想から中間期実績を単純に差し引くと、下期に相当する営業利益は15億91百万円となる。ただし、これは会社が独立した下期予想として示した数値ではなく、本稿の計算だ。上期の進捗が高いから確実に上方修正される、と結論付ける材料にはならない。投資や季節性、外部環境を含め、下期を確認する必要がある。

経営の評価は、増益率の大きさから持続性へ

ファッション企業にとって参考になるのは、売上規模を追うだけでなく、事業ごとの利益の生まれ方を見直す視点だ。どの顧客に、どの商品を、どの接点で提供するか。その選択が在庫や販管費とどう結び付くかを確かめる必要がある。

今回の決算は、収益の改善を示す一方、その背景を一つの成功要因へまとめられないことも教える。ジュエリー、時計リユース、アパレルの動きと一時的な費用差を分け、さらに現金の回収まで見る。売上770億円、営業利益43億円という計画が実現するかとともに、翌期にも続く利益の基盤が育っているかを追いたい。

なお、営業利益率や下期相当額は、公表された百万円単位の数値を基に計算し、率は丸めている。会社の予想値と本稿の計算を区別したうえで、今後の開示との比較に用いたい。

SOURCES / 出典・元記事URL

4℃HD公式/2026年10月9日・中間決算短信(表紙、添付2〜3、6ページ)
https://cdn.clipkit.co/tenants/2641/item_files/assets/000/006/512/original/20261009_77.2Q.tanshin.pdf

4℃HD公式/IR資料一覧
https://yondoshi.co.jp/ir

AI生成のイメージ画像。紹介企業の実際の商品・店舗・製造現場を撮影した写真ではありません。