ローリーズファーム、人気スタッフが商品を企画。「売る人」からファンと商品を育てる人へ

「more+me」秋企画に8名が参加し、8アイテムをプロデュース。オンライン販売と所属店舗、来店企画を結ぶ取り組みから、販売員の発信力を企業の仕組みへ変える条件を考える。
掲載日:2026年10月27日/初公開:2026年10月28日
FACTS / 8名の視点を、8つの商品へ
アダストリアのレディスカジュアルブランド、LOWRYS FARMは、スタッフによる商品プロデュースや来店企画「more+me」を展開している。2026年10月27日の繊研新聞は、顧客接点の拡大とスタッフの意欲向上を狙って取り組みを強化していると伝えた。本記事で確認した同紙の範囲は公開部分で、有料本文の内容は補っていない。
公式の2026年秋特集では、8名が各1型、計8アイテムを企画。参加者には店舗スタッフだけでなく、ブランドプレスのサトムラ、toyo.も含まれる。「人気販売員8人」と一括りにせず、店頭と発信の双方からブランドに関わるスタッフの企画と捉えたい。
下表は公式特集の掲載商品と税込表示価格。企画の発表・販売は10月27日の報道より前であり、ニュース掲載日を商品発売日と扱わない。
表は左右にスクロールして確認できます。
| 企画スタッフ | 商品名 | 掲載価格 |
|---|---|---|
| ayano | エリツキニットカーディガン | 8,800円 |
| Rina | フリルニットカーディガン | 7,190円 |
| なっちゃん | サテンフリルスカート | 6,990円 |
| なつき | ZIPフーディ | 6,990円 |
| サトムラ | ボーダーカットLS | 6,290円 |
| のあ | ドットチュールフレアスカート | 7,700円 |
| toyo. | ペプラムニットカーディガン | 7,190円 |
| marina | ドッキングブルゾン | 8,800円 |
FACTS / EC、所属店、来店企画をつなぐ
10月1日の企業発表では、オンラインは10月7日19時から、対象の所属店舗では10月8日から販売すると案内した。所属店販売は5店舗で、その店のスタッフが企画した商品のみを取り扱う方式だ。8人の商品すべてを全店で販売するという内容ではない。
公式特集に記載された対象は、ayanoのイオンモール大和郡山店、Rinaのイオンモール松本店、なっちゃんのアトレ川崎店、のあの金沢フォーラス店、marinaのルミネ横浜店。発信を見て訪れる顧客と、普段その店舗を利用する顧客の接点を重ねる設計と読める。
企業発表は、and ST TOKYOで10月3〜4日に8型の先行販売とスタッフ来店企画を実施すると案内していた。これは開催前の告知であり、来場者数や当日の販売成果を示すものではない。公式発表にある接客予約枠の受付終了も、商品の完売とは区別する。
2025年9月の公式企画は第4弾として、4名による全11型を9月18日19時から販売すると案内していた。スタッフ数と商品型数は同じ指標ではなく、今回を単純な規模倍増と評価することはできない。継続して企画されてきた仕組みである点に注目したい。
ANALYSIS / 顧客の声を企画へ戻す距離が短くなる
販売スタッフは、サイズや着用場面、手入れのしやすさなど、購入前の迷いに接する機会を持つ。そこにSNSでの反応が加われば、顧客が何に共感し、どこで購入をためらうかを商品企画へ戻せる可能性がある。公式特集でも、シルエットや着回しなど企画者のこだわりを商品と一緒に伝えている。
重要なのは、個人の感覚をそのまま大量生産することではない。顧客の要望を整理し、MDや生産担当と価格、品質、数量を検討する工程が必要だ。ファンの反応が大きくても、それがブランド全体の需要と一致するとは限らない。試作、発注、販売後の検証までを組織で支えることが、他社で再現するための条件になる。
ANALYSIS / 人気を個人の成果だけに閉じ込めない
SNSのファンが企画商品を知り、ECで購入したり、実物を見るために店へ行ったりする。その動線を一体で設計できれば、販売員は接客担当だけでなく、商品と顧客の関係をつくる役割を担える。ただし、今回の売上寄与、完売実績、フォロワー数は確認できず、成果が立証されたとは記載しない。
企業側には、企画や発信に充てる時間、撮影・投稿の支援、他部署との役割分担、適切な評価が必要だ。投稿数だけでなく、返品や粗利益、顧客との継続関係まで見られる仕組みが望ましい。これは編集部の提案であり、LOWRYS FARMの具体的な報酬・昇進制度として確認したものではない。
特定の人だけに顧客接点が集中すると、異動や退職の際に関係が途切れるリスクもある。企画の知見を共有し、多くのスタッフが得意分野を発信できる環境を育てることが、ブランドとしての持続性につながる。
これからのアパレル販売員は、商品を売るだけの仕事ではなくなっていくと思う。SNSを通じて自分のファンをつくり、顧客との関係を築き、そこで得た声を商品開発に生かす。販売員が顧客に支持されていれば、その人が企画した商品自体が販売のきっかけになる。
重要なのは、企業がそうした販売員の影響力を個人任せにするのではなく、会社の仕組みとして育てることだ。SNS運用を教えるだけでは足りない。商品企画に参加できる仕組み、成果を評価する制度、店舗とECをつなぐ販売体制まで整えてこそ、事業の成果につながる。
一方で、人気スタッフが退職したら売上が落ちるような状態では、企業にとっての持続性に課題が残る。特定のスター販売員を育てるだけでなく、多くのスタッフが自分の強みを発信し、顧客との関係を築ける仕組みが必要だと思う。
販売員はコストではなく、企業のブランド価値を生み出す重要な経営資産だ。今回の取り組みは、販売スタッフの役割が変わり始めていることを示す事例ではないだろうか。
SOURCES / 出典・元記事URL
繊研新聞「ローリーズファーム、人気販売員企画を強化」/2026年10月27日、公開部分
https://senken.co.jp/posts/adastria-261027
LOWRYS FARM more+me 8 STAFF / 8 ITEMS 2026 AUTUMN/閲覧2026年10月28日
https://www.dot-st.com/lowrysfarm/cp/staff_produce_202610
LOWRYS FARM more+me 第4弾/2025年9月販売案内
https://www.dot-st.com/lowrysfarm/cp/staff_produce_202509
アダストリア LOWRYS FARM more+me 秋企画公式発表/2026年10月1日
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000003309.000001304.html
AI生成イメージ。紹介企業の実際の店舗・商品・社員、技術や過去の記録写真ではありません。