記事一覧へ戻る
2026.10.26 / RETAIL / SHIMAMURA / APPAREL SUPPLIERS

しまむらとの取引を深めるアパレルメーカー。販路再編で問われる売上と利益

衣料品メーカーの商品提案と供給を表すAI生成イメージ。しまむらの実際の施設ではありません。

GMSの衣料品事業が変わる中、しまむらとの企画・提案を深めるメーカーが報じられている。大きな販売網は成長機会になる一方、取引先への依存と収益性をどう管理するかが問われる。

掲載日:2026年10月26日/初公開:2026年10月28日

FACTS / 取引の深まりと、確認できる範囲

繊研新聞は2026年10月23日、量販店向けレディスアパレルメーカーの生き残りを扱う連載で、しまむらグループとの取り組みを紹介した。公開部分は、GMSが衣料品を縮小する中、しまむら向け売上比率を高めるメーカーがあり、企画や提案を通じた関係が成長の柱になっていると伝える。

本記事は同報道の公開部分と企業の一次資料を確認した。有料本文にある個別メーカー名、各社の依存比率、契約条件は確認できていないため記載しない。取引先数の増加を示す時系列データは確認できていない。

GMS再編の公式発表例として、セブン&アイは2023年3月9日の中期経営計画更新で、イトーヨーカ堂の自主アパレル事業からの撤退方針を示している。これは2026年の新発表ではなく、すべてのGMSの売場面積や取引移行量を示す資料でもない。

FACTS / 上期売上3,572.60億円、グループ2,278店

しまむらが9月28日に公表した2027年2月期中間決算では、連結売上高は3,572.60億円、前年同期比4.0%増。営業利益は331.29億円、5.3%増で、営業利益率は会社表示で9.3%だった。対象期間は2026年2月21日〜8月20日で、暦年上半期やしまむら事業単独の数字ではない。

同じ期末時点のグループ店舗数は2,278店。このうち「しまむら」事業は1,423店で、グループ合計にはアベイル、バースデイなど国内の他事業と台湾45店を含む。広い店舗網がメーカーの販路になり得ることと、そのメーカーの利益が増えることは別の問題である。

BUSINESS MODEL / 大きな販売網と、完全買取の意味

公式のビジネスモデル紹介によると、しまむらは約600社のサプライヤーと取引し、バイヤーが中央で仕入れる。メーカーや商社が完成品を供給する仕組みであり、自社製造型のSPAと同じ構造ではない。商品は各店舗へ個別納品するのではなく、商品センターへまとめて納める。

原則として不良品以外は返品しない完全買取も特徴だ。メーカーにとっては返品リスクや配送負担を抑える面がある。ただし、次の発注や取引先の利益まで保証されるわけではない。大手小売との取引を一方的な価格圧力だけで描くと、供給側の利点も見落としてしまう。

同社はPBに加え、サプライヤーと共同開発するJBも展開している。単に指定された商品を納めるだけでなく、消費者に合う提案を共同でつくる余地があることは、メーカーの商品企画力を考える上で重要だ。

ANALYSIS / 売上依存と、共同開発の力を分けて見る

販路を集中させると、まとまった発注と生産計画の安定につながる可能性がある。一方、販売方針や売価、商品構成が変われば、メーカーの受注や設備稼働にも影響する。これは一般的な集中リスクであり、しまむらが不当な条件を課していると確認したものではない。

メーカーが見るべきなのは、取引先別の売上だけでなく、粗利益、企画やサンプルにかかる費用、生産数量、納期、運転資金まで含めた採算だ。小売り側が高収益でも、供給側に同じ利益率が残るとは限らない。各社の利益や取引条件は個別に確認する必要がある。

独自素材、着用感、サイズ設計、生活上の不便を解決する企画など、消費者に選ばれる理由をつくれれば、取引は数量だけの競争から変わり得る。他販路を機械的に増やすだけでなく、特定の取引先を失った場合も事業を続けられる資金と商品開発の基盤を持つことが重要になる。

編集長・竹内 真はこう見る

アパレルメーカーにとって、大きな販売網を持つ小売企業との取引は魅力的だ。しかし、取引先の規模が大きいほど、その企業の販売方針や価格政策に経営が左右される可能性も高まる。

短期的には売上が増えても、取引条件の変化や価格競争によって利益が減ってしまえば、持続可能な成長にはならない。

これからのメーカーに必要なのは、単に商品を供給するだけでなく、消費者に選ばれる商品を企画し、独自の価値を生み出す力ではないだろうか。販路の確保は重要だが、それと同じくらい、取引先に依存しすぎない経営基盤をつくることが大切だと思う。

SOURCES / 出典・元記事URL

《量販店向けレディスアパレルメーカー生き残りの条件③》しまむらと共に成長 “イエスマン”ではだめ/2026年10月23日、公開部分を参照
https://senken.co.jp/posts/ladies-apparel-261023

2027年2月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)/2026年9月28日
https://www.shimamura.gr.jp/assets-c/uploads/74_02_tanshin1.pdf

2027年2月期 半期決算説明会(コメント有)/2026年9月29日
https://www.shimamura.gr.jp/assets-c/uploads/74_02_setsumeikai_analysts_withcomments1.pdf

第74期 第2四半期決算概要/2026年9月28日
https://www.shimamura.gr.jp/assets-c/uploads/74_02_gaiyou2.pdf

しまむらグループ ビジネスモデル/閲覧2026年10月24日
https://www.shimamura.gr.jp/company/business/model.html

しまむら 取引基準/閲覧2026年10月24日
https://www.shimamura.gr.jp/assets-c/uploads/transaction_standards.pdf

中期経営計画のアップデートならびにグループ戦略再評価の結果について/2023年3月9日
https://www.7andi.com/ir/file/library/ks/pdf/2023_0309ks_01.pdf

関連記事:日本のアパレル勢力図はどう変わったか →

AI生成イメージ。紹介企業の実際の店舗・商品・社員、技術や過去の記録写真ではありません。